麺屋一燈「オマールビスクの濃厚つけめん」すべてのレビュー

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2025年08月20日

スープはオマールヘッドをブランデーで焼き上げ、そこに一燈のベースである鶏スープとブーケガルニを合わせ、しっかり濾した後にトマトペーストで整えたビスク・ド・オマール風。
香ばしい海老の風味、鶏とトマトの濃厚でまろやかな口当たりと柔らかい酸味、セロリの爽やかな香りがビスク感のある味わいを作り上げています。
ビスク・ド・オマール風といえば、海老丸さんのラーメンも宅麺からリリースされていますね。
 
ちなみに「ビスク」とは、現代では「甲殻類を使ったポタージュ」を指すのが一般的で、ビスク自体にスープの意味が含まれているため、「ビスクスープ」というのは二重表現に当たります。
例えるなら「味噌汁スープ」や「お粥ライス」と言うのと同じ事なので、「スープ」は付けずに「ビスク」とだけ呼ぶのが正しい表現です。
 
麺は多加水のスクエア型角刃太ストレート。粉の詰まった非常にコシの強いガチムチの食感で食べ応えがありますが、量は茹で前で約150gとつけ麺にしては少な目です。
 
昆布水は綺麗な桜色をしており、海老がほんのり香るまろやかな優しい味わい。一口目はスープに浸さず、まずは麺と昆布水のみで味わってみましょう。
 
次に付属のバジルソルトを麺にパラっとかけて頂くと、塩との対比効果により麺の甘味がグッと引き立ちます。
 
ソース・ピストゥにはトマコンも加えられており、麺に絡めるとしっかりとした酸味とニンニクの風味が味にメリハリを与えてくれます。
 
ちなみに「ピストゥ」とは、端折って説明するとフランスのプロヴァンス地方の言語で、フランス公用語で言う「パテ」、英語で言う「ペースト」を意味します。
つまりバジルペースト(練り物)の事で、これに松の実を加えるとイタリア料理の「ペスト・アッラ・ジェノヴェーゼ」になります。
本来ソース・ピストゥにもペスト・ジェノヴェーゼにもトマトは使わず、バジルはもっと量を使うので、こちらは独自のアレンジが施されたピストゥ風のタレ、という事になります。
 
フライドオニオンはスープにコクと甘味、ザクザクとした食感を与えてくれますが、〆のリゾットにも使えるので、つけ麺に全部使わずに少々残しておくとよいです。
 
海老は有頭のバナメイが2尾。ボイル済みで殻も剥かれていますが、有頭は鮮度が落ちやすいので、冷凍でも賞味期限を守ってなる早で頂きましょう。
 
麺が終わったらライスをレンチンしてスープをかけ、チーズを散らして〆のリゾットが完成です。
チーズは軽く炙ると香ばしさとコクが加わるのでお勧めです。先述のフライドオニオンも好相性なので、こちらにもトッピングしましょう。
ブラックペッパーや付属のバジルソルトも味を引き締めてくれます。
 
なお一通り味変して麺や昆布水を浸した後のスープは色々な味が混ざり濃度も薄くなっている為、リゾットを濃厚な状態で頂きたい場合、スープは食べる前につけ麺用とリゾット用に予め分けておくとよいです。
ただ昆布水で割った後のスープも旨味甘味がブーストされており、この状態でライスを投入するとリゾットというよりサラサラの雑炊状になりますが、それはそれで文句無しに美味しく仕上がります。
 
様々な味変が楽しめるテーマパークのようなつけ麺で、一杯としての満足度は非常に高く、これだけの味変アイテム数なので麺が足りなく感じられますが、
各々の味変をじっくり楽しみながら頂くと、〆のリゾットまで含めて最終的には中々のボリューム感になると思います。

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